下平 好博

教授
専門分野
社会保障論、経済社会学
ゼミテーマ
近代の意味を考えるー産業化理論=収斂理論の批判的検証
主な所属学会
日本社会学会、社会政策学会、福祉社会学会、労務理論学会
研究実績
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教員からの
メッセージ

われわれの社会的行為は、「目標」とそれを実現するための「手段」から成り立っています。しかしながら、いかなる「目標」も、またいかなる「手段」も社会から許容されているわけではありません。いま一番心配されるのは、このような歯止めがなくなった犯罪や戦争が世界中で増えていることです。これは真の意味での「社会の危機」といえるでしょう。われわれに何ができるか一緒に考えていきましょう。

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主な担当科目

社会保障論

日本の経済力を示すGDP(国内総生産)は500兆円強です。われわれはそのうち100兆円強を毎年、年金保険や医療保険などの社会保障制度に投じています。すなわち、社会保障制度の歴史、仕組み、将来の課題を理解することは、現代人に課せられた最低限の義務といえるでしょう。

経済社会学

経済は一見冷酷な市場原理で動いているようにみえるかもしれません。しかしながら、「社会の中に埋め込まれた経済」という視点からみると、たとえ完全競争市場といえども、自律的に動いているわけではなく、そこには政治・社会・家族などのさまざまな影響力が及んでいることがわかります。経済社会学では、これらの複雑な連関をやさしく紐解いていきます。

社会学原論B

社会は2人以上の個人によって形成されます。しかし、そのようにしてわれわれが築いた社会はまた、相互に独自の法則に従って動いています。社会学原論Bでは、「合成の誤謬」をキーワードにして、社会と社会との相互連関によって生じるマクロ的な運動法則を解明します。

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ゼミ紹介

活動内容

社会的行為論の立場から「社会保障の社会学」を構築することが、私のゼミの目下の課題です。たとえば、医療保険改革一つとっても、それを「行政」「医療機関」「患者である国民」のいずれの立場からみるかによってその意味は大きく違ってきます。ここでは、そのような主体の相互行為を通じて形成される社会関係に注目し、それらがいかなる政策に結実したのかを検討したいと思っています。

ゼミのアピールポイント

「理論」と「実証」とをバランスよく総合するのが下平ゼミのモットーです。理論にも強く、かつ経験的データの扱いにも習熟した実証能力のある学生を育てたいと考えています。

ゼミのイベント紹介

コロナも少しばかり落ち着いてきたので、そろそろ大学の外に出て、人の話を聞いてみたいと思っています。

主な卒業論文のテーマ

「人はどのように住みたい街を選ぶのか―住みたい街ランキングの分析から」 「食を通じた地域再生―B1グランプリを題材に」
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推薦図書

  • 入門 icon
    新編 啄木歌集
    久保田正文編、1993、岩波書店
    新編 啄木歌集
    推薦コメント

    電子音に囲まれて感性がすっかり鈍ってしまった若者に贈りたい一冊。27歳で夭折した天才歌人、石川啄木(1886-1912)の2つの歌集、『一握の砂』(1910)と『悲しき玩具』(1912)が収められている。

  • 基礎 icon
    入門 世界システム分析
    イマニュエル・ウォーラスティン、2006、藤原書店
    入門 世界システム分析
    推薦コメント

    2019年8月31日、88歳で逝った社会科学の巨人、イマニュエル・ウォーラスティンが自らが体系化した世界システム論を平易に解説した入門書である。しかし、入門書といっても、社会科学の基礎概念がわかっていないと本書を読み終えるのは難しい。その意味で「基礎」図書として位置付けたい。学問に近道はありませんが、みなさんが迷路にはまらないために、そっと教えてあげたい一冊です。

  • 応用 icon
    ユダヤ人問題によせて/ヘーゲル法哲学批判序説
    カール・マルクス、1974、岩波文庫
    ユダヤ人問題によせて/ヘーゲル法哲学批判序説
    推薦コメント

    本書の中に、ユダヤ人問題はドイツでは「国教」をめぐる神学的問題であるが、新大陸アメリカにおいては「信仰の自由」の問題にすぎない、というくだりがある。学生時代にこれを読んだとき一瞬にして、空間に時間を投影させる19世紀ヨーロッパ人の歴史観が氷解したような気がした。そういう感動は古典でしか味わえないので、最後に「薦める一冊」としてあげておきます。

  • その他 icon
    社会学に触れる25冊 : 5人の教員の「私の5冊」(スターブックス シリーズpart.2)
    明星大学図書館 (meisei-u.ac.jp)